近年、教育の分野で注目されている「STEAM教育」とは、Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Art(芸術)、Mathematics(数学)の5つの分野に焦点を当てた教育手法のことです。この教育の目的は、子供たちがこれからの時代に必要な問題解決力や創造性、論理的思考を養うことです。
この記事では、日本で利用できるおすすめのSTEAM教育サービスを紹介します。無料で試せるものから、有料で本格的に学べるものまで、それぞれの特徴を比較しながら解説していきます。
STEAM教育の重要性
現代社会は、テクノロジーの急速な進化に伴い、仕事や生活のさまざまな場面でデジタル技術や科学知識が求められるようになっています。STEAM教育は、子供たちにこれらの分野で必要なスキルをバランスよく育てることを目的としています。
STEAM教育のメリットには、以下のような点があります。
問題解決力を養う: 複雑な問題に対して、科学的・技術的なアプローチで解決する力が身につく。
創造力の育成: 工学や芸術を通じて、子供たちが自分のアイデアを形にする能力を高める。
論理的思考の向上: 数学やプログラミングを通じて、論理的に考える力を身につけられる。
無料で利用できるSTEAM教育サービス
まずは、コストを抑えて始められる無料のSTEAM教育サービスをいくつかご紹介します。無料でありながらも、高品質な学習コンテンツを提供しているものが多く、初心者でも気軽に取り組めます。
サービス名 | Scratch | Code.org | Google CS First |
対象年齢 | 8歳以上 | 6歳以上 | 9歳以上 |
特徴 | 視覚的なブロックを使ってプログラミングを学び、ゲームやアニメーションを作成できる。 | 初心者から上級者まで対応した、ビジュアルからテキストまでの幅広いプログラミング学習が可能。 | 高度なプログラミングには対応しておらず、限界がある。 |
メリット | 完全無料で、直感的にプログラミングの基礎を学べる。 | 多様な言語で学べ、教育者向けの教材も充実。 | 英語教材が多いため、英語に不慣れな子供には難しい場合がある。 |
デメリット | 高度なプログラミングには対応しておらず、限界がある。 | 英語教材が多いため、英語に不慣れな子供には難しい場合がある。 | 日本語のサポートが限定的で、英語のリソースに依存する部分が大きい。 |
【Scratch(スクラッチ)】
Scratchは、子供向けの視覚的プログラミング言語で、MIT(マサチューセッツ工科大学)が開発しました。プログラムのブロックをドラッグ&ドロップして組み立てることで、簡単にゲームやアニメーションを作成でき、楽しみながらプログラミングを学ぶことができます。
1 特徴
視覚的プログラミング: 文字ではなく、視覚的なブロックを使ってプログラムを作成するので、初心者でも直感的に理解できます。
対象年齢: 8歳以上
学習分野: プログラミングの基礎、ゲーム開発、アニメーション作成など、コンピュータサイエンスに関連する分野に特化。
2 メリット
完全無料で利用可能: 無料で提供されており、インターネット環境さえあれば誰でも始められます。
クリエイティブな作品作り: ゲームやアニメーションを自分でデザインできるため、楽しみながら論理的思考力が養えます。
コミュニティ機能: 世界中のユーザーがScratchを使って作成した作品を共有し合い、他人の作品を見て学ぶこともできます。
3 デメリット
複雑なプログラムには不向き: Scratchは視覚的なプログラミングが主流のため、より高度なプログラミングスキルを学びたい場合には制約があります。
【Code.org(コードドットオルグ)】
Code.orgは、世界中で利用されている無料のプログラミング学習プラットフォームです。初心者から上級者まで幅広いレベルのコースが用意されており、特に「Hour of Code」というキャンペーンを通じて、プログラミング学習を普及させています。
1 特徴
多様なプログラミング言語: ビジュアルプログラミングからPythonやJavaScriptなどの言語まで、幅広い選択肢が用意されています。
対象年齢: 6歳以上
学習分野: プログラミング、アルゴリズム、データサイエンスなど、さまざまなテーマで学習可能。
2 メリット
教育者向けのリソースが豊富: Code.orgは学校や家庭向けに無料の教育リソースを提供しており、教師が授業で使えるカリキュラムも用意されています。
段階的な学習: 初心者向けの簡単なコースから、上級者向けのプログラミングまで、段階的に進められるため、スキルに応じて学べます。
グローバルな普及: 世界中で利用されており、他の学習者とオンラインで成果を共有できるコミュニティがあります。
3 デメリット
英語対応が中心: 教材の多くが英語で提供されているため、英語に不慣れな子供にはハードルが高く感じることがあります。
【Google CS First】
Google CS Firstは、Googleが提供する無料のコンピュータサイエンス教育プログラムで、子供たちがプログラミングを通じて問題解決力やクリエイティビティを育てることを目的としています。学校や家庭で利用できるカリキュラムが充実しています。
1 特徴
プロジェクトベースの学習: 子供たちはゲームやアニメーション、インタラクティブなストーリーを作成しながら、コンピュータサイエンスの基礎を学べます。
対象年齢: 9歳以上
学習分野: プログラミング、問題解決、クリエイティブなプロジェクトを通じた学習。
2 メリット
Googleによるサポート: Googleの教育プログラムとして信頼性が高く、しっかりとしたサポート体制が整っています。
無料で利用可能: Googleが提供するため、すべてのコンテンツが無料で利用できます。
学校でも家庭でも使える: 学校での授業や家庭学習で利用でき、プログラミングに触れる機会が多いです。
3 デメリット
日本語サポートが限定的: 英語のリソースが中心となっているため、日本語でのサポートがやや限定的です。保護者や教師のサポートが必要な場合があります。
有料のSTEAM教育サービス
次に、有料で利用できるSTEAM教育サービスをご紹介します。これらのサービスは、より本格的なカリキュラムや専門的な指導が受けられるため、長期的にSTEAM分野でのスキルを深めたい家庭におすすめです。
サービス名 | Playshifu(プレイシフ) | STEMON(ステモン) | WonderBox(ワンダーボックス) |
対象年齢 | 6歳以上 | 5歳以上 | 4歳~10歳 |
特徴 | AR技術を利用した遊び感覚で学べるサービス | ロボットやプログラミングを学べる教室型プログラム | デジタルと紙の教材を組み合わせたバランスの良い教材 |
メリット | 遊びと学びを融合、技術や工学に強いアプローチ | 実践的な学び、専任講師による指導 | 毎月新しい教材が届き、家庭学習に最適 |
デメリット | 機材が必要で、使用環境が限られる | 通学が必要、月額費用が高め | デバイス依存、継続的な費用がかかる |
料金 | Orboot Earth
Plugo Letters Plugo Link 各8,980円 |
幼児向け:月額8,580円
小学生向け:月額10,780円~ |
月額4,200円
※6カ月一括、1年一括払いあり |
【Playshifu(プレイシフ)】
Playshifuは、AR(拡張現実)技術を利用した子供向けの教育サービスです。デジタルと物理的なおもちゃを組み合わせた学習を提供し、特に科学や技術に興味を持つ子供たちに適しています。STEAMの全ての分野を網羅し、特にテクノロジーと工学にフォーカスした内容が豊富です。
1 特徴
AR技術を活用: タブレットやスマートフォンと連動したおもちゃを使って、拡張現実の世界で学習を進めます。子供たちは仮想世界と現実を結びつけながら、動物の生態や宇宙、科学現象などを楽しく学びます。
対象年齢: 4歳以上
学習分野: 科学、工学、数学を中心とした内容で、論理的思考や創造力を高めるアプローチが取られています。
2 メリット
遊びと学びの融合: 実際に触れる物理的なおもちゃとデジタル技術を組み合わせた学習スタイルは、子供たちの興味を引きやすく、遊びながら学べる点が大きな魅力です。
技術に強いアプローチ: 特に、テクノロジーや工学に強い興味を持つ子供には最適で、科学的な探究心を育てることができます。
3 デメリット
機材が必要: タブレットやスマートフォンなどのデバイスが必要であり、使用する環境が限られることがあります。また、アプリの一部は英語対応のみであるため、保護者のサポートが必要な場合があります。
【STEMON(ステモン)】
STEMONは、日本で提供されているSTEAM教育に特化した教室型プログラムです。子供たちはロボットやプログラミング、電子工作を通じて、科学や工学に関連するスキルを実践的に学ぶことができます。STEMONは全国に教室を展開しており、実際に手を動かしながら学ぶ体験型の学習が可能です。
1 特徴
ロボットやプログラミング: STEMONでは、子供たちはロボットを組み立てたり、プログラムを作成して実際に動かすことで、工学的な知識やプログラミングスキルを実践的に学べます。
対象年齢: 5歳以上
学習分野: 工学、プログラミング、ロボティクスなど、STEAM教育の中でも特にエンジニアリング分野に特化しています。
2 メリット
実践的な学び: 教室でのリアルな体験を通じて、子供たちは実際に手を動かしながら学べるため、理解が深まります。また、問題解決能力や論理的思考が身につきます。
専任の講師による指導: 経験豊富な講師が指導するため、子供がわからない部分も丁寧にフォローしてくれます。
3 デメリット
教室が必要: STEMONは教室に通う形のサービスのため、通学が難しい地域に住んでいる家庭には参加しにくい点があります。また、月額費用が高額であるため、長期的に通うには費用面の負担が大きくなります。
【WonderBox(ワンダーボックス)】
ワンダーボックスは、デジタル教材と紙の教材を組み合わせた、日本国内向けのSTEAM教育プログラムです。子供たちは毎月、自宅で学習できる教材を受け取り、ゲーム感覚でプログラミングや科学的な思考を学ぶことができます。ワンダーボックスは、特に論理的思考と創造性を伸ばす教材に定評があります。
1 特徴
デジタルとアナログの融合: タブレットを使ったデジタル教材と、紙の教材やクラフトが組み合わされており、子供たちは多様な体験を通じて学びます。
対象年齢: 4歳~10歳
学習分野: 科学、数学、アート、プログラミングなど、STEAM全体をバランスよく学べます。
2 メリット
毎月の新しい教材: 毎月新しい教材が届くため、常に新しいことを学べる楽しみがあり、子供の学習意欲を継続的に刺激します。
家庭学習に最適: ワンダーボックスは自宅で学べるため、通学が難しい場合や、忙しい家庭でも利用しやすいです。親子で一緒に取り組むこともできるため、家庭内でのコミュニケーションも深まります。
3 デメリット
デバイス依存: デジタル教材が多いため、タブレットやスマートフォンが必須となります。また、継続的な費用がかかる点もデメリットです。
STEAM教育を選ぶ際のポイント
どのSTEAM教育サービスを選ぶべきか迷ったときには、以下のポイントを参考にしてください。
1 子供の興味や適性に合わせる
子供が楽しんで学べる内容が最も重要です。例えば、ゲームが好きな子供には「QUREO」や「D-SCHOOL」のようなプログラムが適しています。一方で、科学やロボットに興味がある子供には、プログラムや工学に特化したサービスを選ぶと良いでしょう。
2 無料サービスから試してみる
まずは無料のサービスで子供がどの分野に興味を持つか確認するのも良い方法です。無料で利用できる「Scratch」や「Code.org」は、初心者にも非常に使いやすく、基礎を学ぶのに最適です。
3 有料サービスでより深い学びを提供
ある程度の基礎を学んだら、次のステップとして有料サービスを利用するのもおすすめです。有料サービスでは、プロの指導や高度なカリキュラムが提供されており、子供の学びがさらに深まります。
まとめ
STEAM教育は、子供たちの未来に必要なスキルを養う上で非常に重要な教育手法です。この記事では、無料と有料のサービスを紹介しましたが、まずは子供が興味を持ちそうな内容から始めるのが良いでしょう。無料サービスで基礎を学びつつ、さらに深い学びを求めるなら、有料のプログラムにステップアップすることも検討してみてください。
ぜひ、子供たちと一緒に楽しみながらSTEAM教育を始めてみましょう!